下塗り材のシーラーって何だろう?
塗料の仕様書を見ると「シーラー」という文字を見かけます。
シーラーって見かけるけれど、どんなものなのだろう?どういうときに塗るの?シーラーは、下塗り材?塗料の下に塗料を塗るの?塗料って塗面にそのまま塗ってもいいものじゃないの?と疑問が出てきますよね。
目次
1:シーラーとは何か

シーラーは、下塗り材という種類の塗料で、通常の塗料を塗る前に下塗りする塗料です。
シーラーの由来は、英語のシールから来ているようです。シールは、覆い隠す・接着など閉じ込める意味があります。
2:シーラーはどのような目的で塗るのか?

シーラーは主に……
1.上塗り材の吸い込み止め
2.下地の補強
3.上塗り材との密着力の強化
4.下地からの影響(アクやヤニなど)の防止
と、目的に応じた様々な機能を有した種類があります。
3:シーラーには種類があるのか?
大きく水性シーラーと油性シーラーの2種類に分けることができます。

■水性のタイプ
シーラー内の水分が蒸発して膜をつくります。ニオイも少なく室内のペイントにおすすめです。主に水性塗料の下塗りとして使用します。
■油性のタイプ
シーラー内の溶剤が、揮発(きはつ)して膜をつくります。ニオイは強いですが水性より密着力が高く劣化が激しい外装やコンクリート床の塗装に向いています。主に油性塗料の下塗りとして使用します。
4:水性のシーラーの上に油性の塗料を塗布してもいいのですか?

機能性や使用目的に応じてシーラーの成分は異なりますので、塗っても大丈夫なものもあれば塗ってはいけないものもあります。しかし塗装の基本は、「水性塗料の上には水性塗料を塗る、油性塗料の上には油性塗料を塗る」と覚えておきましょう。また、塗装時には仕様書をよく読んでからペイントしましょう。
5:シーラーの機能とは?
シーラーは、使用目的に応じて機能が異なります。
■素材からの影響を抑える目的で使用するもの
たばこのヤニを抑えるヤニ止めシーラー、砂壁から出てくるアク(汚れ)を抑えるアク止めシーラー、コンクリートのアルカリを抑えるアルカリ止めシーラーなどがあります。
■素材の脆さを強化する目的で使用するもの
風化して脆くなったコンクリートやモルタルを補強するコンクリート強化シーラーや、
砂壁や繊維壁を固めて上塗り塗料が塗れるようにできるシーラーがあります。
■上塗り塗料との密着性を高めるもの
塗膜をつくったり、塗面に浸透して密着性を高める下塗り材に密着シーラーやカチオンシーラーがあります。
それぞれ機能が違いますので、目的に合ったシーラーを選びましょう。また、塗り方も違いますので仕様書を確認して塗りましょう。
6:シーラーを塗らなくてはいけない場所に塗らないとどうなる?

シーラーを使うべき場合に使わない場合、以下の問題が発生します。
●上塗り材が素地に余計に吸い込み無駄になる、またムラになる可能性がある。
●上塗り材が密着不良で剥がれる可能性がある。
●素地が脆いと素地ごと塗料が剥がれる可能性がある。
●ヤニやアクなどの素地からの影響を受ける可能性がある。
7:シーラー・プライマー・フィラーって違うもの?
ここまでシーラーについてお話してきましたが、シーラー以外にもプライマー・フィラーと言う下塗り材もあります。こちらもそれぞれ用途や目的が異なります。
■プライマー
主に金属面に使用する下塗り材や錆止め塗料、防水材や床用塗料の下塗り材などをプライマーと呼ぶ場合が多いのですが、一般的にはプライマーもシーラーと同じ機能性の下塗り材といえます。
■フィラー
詰め物、充填剤などの意味を持つフィラー。その意味の通り、ひび割れなどを埋めることができる下塗り材です。
厚付けタイプの下塗り材のため、主に模様を変える外装材の下塗りとして使用されます。
さいごに
塗料の中には、シーラー無しでも塗れる塗料もあります。よりキレイに仕上げるのならシーラーを使用して塗った方が良いでしょう。